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アニメ感想・考察ブログ

91Days5話感想

旅は4話こっきりで終わり、戻ってきたローレスの街は以前と変わってしまっていました。

アンジェロとネロ、そしてコルテオと、それぞれ関係性が作り上げられたり変化したりする中で、ただアンジェロの目的だけはぶれずに残っています。

血(暴力)が血を呼ぶのか、血(血統)が同じ、半ば裏切りという道を選んでしまうのか、そんなこんなで佳境に入ってきた5話、感想です。

 

91Days5話「血は血を呼ぶ」感想

 

登場人物

アンジェロ・ラクーザ(アヴィリオ・ブルーノ)

…NO 復讐 NO LIFE.案外旅が楽しかったのかもしれません。着々と復讐の準備を進めます。

ネロ・ヴァネッティ

…ファンゴが嫌い。アンジェロをすっかり信用してるようです。逆にフラテの裏切りにはそれほど驚いていませんでした。心中はわからないとはいえ、予測していたのでしょうか。

コルテオ

…バルベロの下ロッジで密造酒製造にいそしむ。少しでもアンジェロの復讐に協力(あるいは阻止?)するためなのか、金を貯めるためなのか。

ファンゴ

…オルコから命をねらわれ、アイランドに20人ほどの仲間と立てこもる。チェロットをタダ働きだが匿ったりと、懐が広いのかもしれませんし、どうでもいいのかもしれません。

フラテ・ヴァネッティ

…次期ボス(仮)。ネロの命と引き換えにオルコと手打ちの交渉をする。いい感じにロベルトに使われている感がありますね。

ロナルド

…だんだん態度がでかくなってきた。フラテをボスにして実権を握るつもりでしょうか。ドン・ガラッシアの指示とのことですが、どこまで本当なのか。

ヴィンセント・ヴァネッティ

…フラテとロナルドにたじたじ。ヴィンセントもはじめはフラテ寄りの思想だったはずです。息子があんまり過激になってしまったのでしょうか。

ドン・オルコ

…ラザニアには一言言いたい。ファンゴ殺害を命じ、ネロの首と引き換えにヴァネッティとの手打ちを了承する。アンジェロは彼をファンゴの元まで引っ張っていかなければならないのですが、そうなるとおいしいラザニアで釣るしかなさそうです。

ヴォルペ

…ネロの部下。今回からネロパーティに同行してます。

感想

豆料理

前回のパイナップルやパンケーキから引き続き、食に関するスタンスがネロとアンジェロではずいぶん違います。おそらく育った環境がそうしたのでしょう。ネロはお坊ちゃまらしくわがまま、かつグルメ。アンジェロは食べられるものを食べられる時に食べると。アンジェロがコルテオと一緒にケーキを食べられる日はもう二度と来ないのでしょうね。

だいぶ余談ですが欧米の人って豆料理好きですよね。私は嫌いです。

ロッジ

ロッジ(山小屋)の名にふさわしく山の中にあった密造酒場。なかなか大規模に作っているようです。そこでコルテオは働いていました。彼の考えた製造方法は複雑で大量生産には至っていないとのこと。どんな方法を考えたんですかね。

また、ここで働く従業員はネロの配下に入るようです。ここに逃げ込めればネロたちの勝ちですが、話の流れとしてはアイランドから反撃することになるのでしょう。

変わってしまったアンジェロとコルテオ

アンジェロはロッジで働くコルテオを見て、コルテオはネロと楽しそうに会話するアンジェロを見てそれぞれ顔を曇らせました。互いに「変わってしまった」と思ったのでしょうか。

おまけにコルテオは煙草を吸い始めました。が、アンジェロの「吸い始めたのか?」の問いに何も言わなかったのでその答えが肯定なのか「もともと吸っていた」のかはコルテオにしかわかりません。単純に煙草は嗜好品(=最低限の生活に必要ないもの)ということからコルテオの羽振りが良くなったことを示しているだけかもしれません。

Lawless Heaven

「無法の天国」とは、なんともはや。アンジェロお気に入りのコルテオ製密造酒ですが、そういえば1話で飲む前から「うまいのは知ってる」と言っていました。どこかで飲んだことがあるのでしょうか。それともコルテオに対する信頼から出た言葉だったのでしょうか。

フラテの裏切り

裏切りと言うのか、下剋上と言うのか…。フラテにとってはこれも「ファミリーのため」なのでしょう。そしてそのフラテ(とロナルド)にファミリーの一定数も同意している。

こうなると気になってくるのがフィオはどこまで知っていてロナルドとの結婚を了承したのかということです。フラテの計画を少しでも知っていて結婚を了承したのか、全く知らないか。前者だった場合、ネロの弟妹2人とも敵になりますね。

WASTE LAND

逃げ込んだ小屋でコルテオが読んでいた本は恐らくT.S.エリオットの「荒地」です。1922年発表なので時期的にも大丈夫です。荒地といえば不毛、暗にアンジェロの復讐を批判しているのでしょうか。ただ、エリオットの「荒地」ということで考えると荒廃(死)から救済(生)の可能性を感じさせる終わり方なので、メタ的に見て救いのないアンジェロの復讐劇に一筋の光が見えた、ような見えないような。話は逸れますがこの詩は文体が渇いている感じがして正に「荒地」です。おもしろいです。

そして何より有名な書き出しの「四月は最も残酷な月」が皮肉に聞こえます。アンジェロの誕生日は4月、家族が殺された日です。復讐だけが残されたアンジェロにとって生を受けた4月こそが「最も残酷な月」なのかもしれません。引用元の詩はそんな意味で言っているわけでは、当然ないのですが。

他、文脈的に考えると「荒地」を読めるのはかなりのインテリ(なはず)。古典文学からの引用が多く、全てを理解できるのはよほどの教養人です。コルテオの非凡さを表すシーンでもあるんですかね。

復讐がなければ人生の意味がない

それほどまでに7年前の夜がアンジェロに残したものは大きかったわけですね。復讐劇となると何より主人公の目的がしっかりしているので話の軸がぶれにくい気がします。

嘆きの川

アンジェロもネロもアイランドへ渡る川をコキュートス(嘆きの川)と、同じようにたとえました。嘆きの川はギリシア神話に出てくる川で、簡単に言って「三途の川」です。この2人は普通に出会えていれば友情を育んだように思えます。家族を殺される前のアンジェロは好奇心旺盛で勝気と、ネロと意気投合しそうな性格してますし。

それにしても「生きて欲しい」と言うコルテオに向かって冥府という言葉を出すとは、アンジェロも意地が悪いですね。

7年前の流れ

前回のネロの話で7年前のことがよくわからなくなってきたので1話見返してみました。まとめてみます。ちなみに恥ずかしながらネロとアンジェロが同じ声に聞こえるくらい耳が悪いのでしゃべっているキャラを間違えているかもしれません。

流れをまとめると

ヴィンセント「ドンがやられた」

パパ(聞いた時点でナイフを用意)「オルコのやつらか?」

「俺さ」「ファミリーを守るためだ」

「あれだけ世話になっておきながら」

「おまえは何もわかっていない」

「ガラッシアにどれだけ流したか、調べればわかる」

「帳簿を出せ」

「ここにはない」~以下略

こんな感じでした。なお、適当に台詞は削ってます。

これが真実ならば、やはり嘘をついているのはヴァネッティのほうになります。またパパもパパでナイフを用意していることからヴィンセントが怪しいと気がついていたようです。

読み取れる背景としては、今回のフラテのようにガラッシアに庇護を求めたヴィンセントが見返りを払った。しかしドンはガラッシアに頼る気がなく、むしろ横流ししたヴィンセントを非難した。ヴィンセントはドンを殺し、帳簿係であるパパを殺して横流しをごまかそうとした、あるいはドン派の主要人物を殺しておきたかった。というところでしょうか。

しかし現ファミリーの中では不正をしたのがパパということになっています。

そんなヴィンセントが今さらフラテに「俺たちはガラッシアの人形じゃない」と諭すのはどういった心境の変化でしょう。7年前のことを後悔でもしているのでしょうか。こんなはずではなかった、と思ってるのでしょうか。

 

いよいよネロ(とその周辺)、ヴィンセントが死ぬと得する人間が出てきました。手紙の差出人が一体誰なのか、ラクリマはアンジェロ=あの夜の襲撃者と気づいているのか疑問に思いつつ感想以上です。