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アニメ感想・考察ブログ

ダーリン・イン・ザ・フランキス21話感想

愛は地球を救うが、その犠牲が何もないとは言っていない。

ダーリン・イン・ザ・フランキス21話「大好きなあなたのために」感想

世界観

人類が栄えるまで

001の言い分だと、人類が栄える前に叫竜族が地球で最も繁栄していた。しかしVIRMの提案を断ったために戦争が勃発、形を変えて撃退するも既に文明は滅びてしまった。それでも次の攻撃に備えるためエネルギーに姿を変えたり合体したりしていた。

その後、人類が繁栄し、あろうことかVIRMとの戦いのためのマグマエネルギーを搾取しはじめた。かつ人類のトップ(の一部?)がVIRMの提案を受け入れてしまったので、地球を守らんと叫竜が出て来た……というのが本編までの流れでしょうか。

肉体を捨て精神生命体になるVIRMの提案を断った結果、戦い以外の文明も生殖能力も失い、エネルギーとなるか全く別の合体生命体になるかしかなかったのは、なんとも皮肉なものです。

登場人物

ヒロ(CODE:016)

いつの間にかこんな立派になって。ヒロはゼロツーのやって来るのを信じ、001に手を貸しました。そして見事ゼロツーと共に愛の力でVIRMを撃退と。

ゼロツー(CODE:002)

ママかな?ヒロを守ろうと決意した彼女はひたすら愛に溢れていたような気がします。

しかし彼女はもうヒロ以外どうでもいいなどとは言いません。仲間を想い、自身の創造主を想い、たとえ敵であろうと命を賭して導いてくれた相手に感謝します。

感想

自己犠牲の過程

今回のサブタイが1番似合っていたのは私の中でイクノちゃんでした。彼女はずっと自分の想いが報われないことを知っていて、それでもなお「大好きなあなたのために」命を賭して戦います。そのきれいな髪を白く染めてまで。

こうした行いが尊いものに思えるのは、個があるからに他ならないと思います。言ってしまえば、個がない他のコドモやオトナたち、個をなくしてしまった叫竜族にとって自己犠牲は、種の存続のためなら当たり前です。(9'sは間際に「死にたくない」との自我に目覚めていましたが)でも13部隊は違います。彼らには個があります。戦って死ね、をそのまま受け入れる盲目な兵隊ではなく、自らの幸福のために戦わない選択を出来る子たちです。当然みんな死の恐怖を感じているでしょう。

そうした背景があると、イクノちゃんやイチゴ・ゴロー、ゼロツーを笑顔で見送ったミクちゃんたちの行動はひときわ輝いて見えてきます。死ぬかもしれない、死にたくない、でもあなたのことが大好きだから、あなたに生き延びてほしいから、ここで立ち止まって戦います、と。個があるからこそ他の個を尊重することができる。そうした結果の自己犠牲は単なる種の生存本能としての自己犠牲よりずっと重みのあるものなのではないでしょうか。

と、こんな風に単なる自己犠牲に意味を見出してしまうのも、人間ならではなのかもしれません。