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アニメ感想・考察ブログ

色づく世界の明日から3話感想

この娘…やはり言霊使いか…。

色づく世界の明日から3話「No rain, No rainbow」感想

登場人物

月白瞳美

いい子だ。もう少しウジウジされるとストレスに感じるなあというラインで進んでくれるので心地よく見られますね。
そして前回の感想で割と悪しざまに書いてしまったのですが、本人は心から「魔法が使えない」と思っているようです。秘密にしていたわけではなかった。
これはやはり自分で自分に「魔法が使えない」という魔法をかけてしまっているのでしょうか。終盤の瞳美ちゃんは自分に「向き合わなくちゃいけない」と魔法をかけていたからハッキリ物が言えたのでしょう。そう思えば納得です。
しかし「きちんと向き合わなければならない」と思えたのは瞳美ちゃん本人の変化に他なりません。きっと以前の瞳美ちゃんなら「独りで大丈夫、独りにして」と目をそらして遠ざかっていたでしょう。
それほどまでに「色を見ることができた」というのは瞳美ちゃんにとって大きな出来事でした。ちなみに、葵の絵だけはどんなものでも色付きに見えるみたいですね。

色が見えたということ以外にも、写真美術部のみんなのことが好きだからこそ瞳美ちゃんは一歩を踏み出しました。

あと瞳美ちゃんって人の好意を素直に受け取れるんですよね。全く疑ったりためらったりすることがありません。それは、瞳美ちゃんが紛れもなく愛されて育ってきたことの裏返しです。愛に対して鬱屈してないんですよね。
あえて「たかが」と言ってしまいますが、たかが口約束に対して真面目に魔法の練習を始めるあたりもそうです。いい子なんです、彼女。大好き。

葵唯翔

普通にいいやつであった。
葵はあまり新入生の勧誘に積極的ではなかったんですよね。それは今まで散々周りに語られてきた「絵以外に興味がない」人物像とも一致します。
しかし今回、彼は瞳美ちゃんの秘密を知ります。そしてその世界を理解できないとも思いました。
彼にとって世界はイコール色彩なんですね。虹こそが葵の見ている世界、美しいものです。高校生らしい視野の狭さですが、そうやって世界を見ている葵の描く絵だからこそ瞳美ちゃんは色を見ることができたのかもしれません。
それが同情であれ何であれ、葵は瞳美ちゃんに関心を持ちました。相手の見ている世界をわからないと理解するのは相互理解の始まりです。
これは葵の変化の物語でもありそうですね。
一方が相手を導くのではなく、互いに少しずつ変化し、交流していくという。うーん、青春ですね。

山吹将

部長。葵とは小学校からの友人。
葵を誘って写真美術部にしたのは人数の問題もあったのでしょうが、何より独りになりがちな友人を心配してのことかと思います。瞳美ちゃんに対しても同様に気にかけています。
彼はなんというか、周りがよく見えすぎるが故に自分の気持ちを黙っておくタイプに見えます。

前回見た、瞳美ちゃんの魔法についても本人の気持ちを慮ってか何も言及しませんでしたね。しかし思うところはあったようで、そのわずかな変化をあざみちゃんには気づかれていました。
モノクロ写真をメインにしているとのことで、これから瞳美ちゃんに関わる機会も増えそうです。

感想

モノクロの世界

瞳美ちゃんは自分の見ている世界を気に入っていません。それはここまでの描写を見る限り明らかです。また先に書いた通り、葵も瞳美ちゃんの見ている世界を「うまく想像ができない」と感じています。もちろん、いい意味ではないでしょう。
そもそも世間一般に「モノクロの世界」「灰色の世界」はどこか味気ない、無感動な世界という使い方をされます。
でもそればかりではないように思うんですよねえ。
部長のようにあえてモノクロ写真を撮る人だっています。モノクロ写真は余分な情報が入らないので見る人の想像力をかきたてたり、メッセージ性が強く伝わると言われています。せっかくこれからモノクロ写真をやるのですし、瞳美ちゃんにはその良さをぜひわかってほしい。あわよくば「自分の見ている世界もそう悪いものではない」と思ってほしいです。
とはいえ、私たちがモノクロ写真を良く思うのは色彩あふれた日常にいるからという部分もあるでしょう。そもそもアニメの題名からして色づいたほうが良い世界なのは決まってます。
それでも、モノクロに過ごしてきた日々を無駄なものだったと思ってほしくない、と考えてしまうのは、過去を肯定して生きていかざるを得ない年齢になってしまった私の我が儘でしょうか。

何より、色彩=葵、モノクロ=部長という構図は三角関係フラグか…?と不安に思わずにいられません。