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アニメ感想・考察ブログ

京騒戯画5話感想

明恵の本体は数珠だったのか

京騒戯画5話「若き三男の悩みと始まりと終わり」感想

 

タイトルは『若きウェルテルの悩み』からでしょうかー。
長男次女とありきたりというか紋切り型の言葉というか形式美というか
ともかく元ネタがわからないほど聴きなれたタイトルが使われていました。
そう考えると今回最後の明恵のセリフはタイトルからして予感できたものなのかもしれません。
偶然でしょうがウェルテルが着ているらしいチョッキは黄色
明恵の着けている袈裟も黄色です。

長くなりました。
薬師丸の昔話です。
あらら、ちょこちょこ出てきていた血と倒れた人物の回想は
古都と明恵上人ではなく薬師丸の実の父母でした。
父母の死を見て、自らも腹を刺す薬師丸。
シリアスむんむんです。

夢から覚めた明恵を待っていたのは、コトと阿吽でした。
彼女の家にみんなでお邪魔していたみたいです。
彼女いい子じゃないですか。

なんとなく落ち込み気味の明恵
この時期になると、汽車に乗って両親が帰ってくるんじゃないかと期待しては失望しての繰り返しだそうです。
まだ駅開きやってたんですね。
心の慰めにか、小さい頃から親しくしていた三つ編み少女のもとへ向かいます。
そこにもやってきたのはコトと阿吽。
簡単に外の世界へ行くだの
約束だのを口に出すコトに、明恵は怒りました。
というよりも、コト自身言っていたように彼女ではなく
父への怒りをぶつけた感じでしょうか。
別に三つ編み少女を取られそうになったからではありませんでした。

あてつけにコトは明恵の彼女のもとへ家出します。
姿は見えませんが、阿吽も一緒でしょうか。
お菓子を食べながら、彼女と明恵の話をします。
彼女は明恵を救ってあげてね、とコトに言います。
いい彼女じゃないですか!
夕飯何食べたのでしょうかー。

彼女の言葉を受けて、コトは駅へ向かいます。
神社など神道を思わせるモチーフがあるせいか
なんとなく駅と電車の雰囲気が「千と千尋の神隠し」に似ています。
なんとなくノスタルジー。
他人は汽車に乗っては旅路を行ったり帰路についたりするのに
明恵や八瀬や鞍馬は汽車に乗れないままです。

前日、また昔の夢を見た明恵
いまいち断片的ですねえ。
八瀬が母からぬいぐるみを託されたように
薬師丸は父から数珠と明恵上人の名を託されていました。
明恵の不思議パワーはこの数珠由来の様子です。
ついでにDNAまで含まれているみたいですが
この数珠のせいで明恵上人(前)と薬師丸は血がつながっていないのにそっくりなんでしょうか。
それとも薬師丸が明恵上人にあこがれて真似しているだけでしょうか。

寂しくなった明恵はコトを追って彼女のもとへ。
さらに駅まで迎えに行きます。
コトはいつも通り、というよりいつもよりおどけてどこかへ向かいます。

夕暮れも近くなってきて、コトと明恵は麦畑を進みます。
どうやら阿吽たちは別行動、彼らを迎えに行くみたいです。
ひょー
麦といえばキリスト教においては人の命にたとえられることもあり
麦刈=人の死とされることもあるそうです。
夕焼けも日没、夜の始まりを予感させることから死を連想させます。
というわけで倍率ドン!

コトは阿吽を家族だと呼びます。自らの力で初めて手に入れた家族だから大好きだと。
だから阿吽とコトの出会いが見たいのですが…。
人間じゃなくてもいいのか、と尋ねる明恵
えっ、じゃあ明恵は八瀬や鞍馬を家族と思っていないんですか。

阿吽は始まりと終わりという意味だとコト。
それに明恵は父の言葉を思い出します。いつか始まりと終わりをつれて帰ってくるからね。
へー。
調べてみたら阿は口を開いて最初に出す言葉
吽は最後に口を閉じる言葉というところから宇宙の始まりと終わりという意味を持つんだそうです。
他にも求道心と真実にたとえたりするそうです。

そこでコトがここに来た意味を悟った明恵
黒い兎探しを手伝ってあげるから、自分にも協力しろと言います。
明恵の望みは死ぬことでした。
たぶん実の父母が死んだときからずっと、死にたかったんですね。
コトの持つアラタマで壊されたものは直らないというのがこんなところにつながってくるとは。

途中で心象風景?的に映った子コトと薬師丸のやり取りは
冥界の食べ物ザクロを食べてしまったペルセポネーの逸話や
人肉の味がするという伝説のもととなった鬼子母神の話を想起させます。
どちらにせよ子宝に恵まれるイメージの果物であるザクロ。
これが薬師丸から半分コトに渡された。
また汽車の中にあった1つのザクロ。
冥界へ行く切符を持ちながら、ためらって口にできなかった薬師丸と対照的に
簡単にザクロを食べてしまったコトの相違を描いているのか。
薬師丸が渡された「明恵」がコトという子をもって戻ってきたと考えるのか。
難しいところです。
でも汽車にザクロが乗っていたということは、もういらない、ということか?
コトが殺してくれるからもう冥界への切符はいらないのか?

合間に昔話が入ります。
血だらけでひん死の薬師丸を拾ってきたと明恵上人。
びっくりの古都。
息子にしようとお気軽です。
ふーむ、下世話な話になりますが
つまりこれで明恵上人と古都は子を成せなかったというのはほぼ確定でしょうか。
だから絵から薬師丸の兄姉を作った。
とするとコトもふつうの人間のようには生まれてきていないはずですが
それが絵なのか、もっと特殊な何かなのか。

ところで明恵上人が薬師丸を三男にしたのは
幼い時分に自ら死を選んでしまった彼が思い切り甘えられるようにでしょうか。
それにしてもキリスト教から仏教神道までちゃんぽんですねえ。