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アニメ感想・考察ブログ

Fairy Gone9話感想

「たぎる」を使って良いのは百地だけ!

Fairy Gone9話「転がる石と七人の騎士」感想

 大事に至らず収まったかに見えた人工妖精誤作動事件、もとい首相暗殺未遂事件。しかしすでに石は転がり出してしまっていました。落ちるところまで落ちてしまうのでしょうか。

 

今回のハイブランツ公の作戦がどこまでだったのかは分かりようもありませんが、妖精武器を奪うだけでなく首相直属機関ドロテアを打ちのめし、首相の顔に泥を塗ることまで考えていたのなら大したものです。違法妖精取締機関が情けなく敗北したのであれば、民衆を煽ることも容易いでしょう。果たして政府に「妖精を独占する」だけの力はあるのかと。

戦争代理人として10年間、戦いを続けてきたであろうリスカーにドロテアが勝てないのは納得です。それを平和の証として喜んでいいのかどうかは、悩むところですね。

 

敗北の代償は大きく、ドロテアはオズ含む何名かを失ったようです。

ここで退場するにはオズの掘り下げが足らなくない!?と、アニメに毒された私は思ってしまうのですが、多分このアニメにおいて重要なのはそこではないのでしょう。事実として、平和なはずの国で「戦死者」が出てしまったこと。そしてマーリヤにとってはまた自分のせいで1人失ってしまったこと。

そして掘り下げも何も、最後まで身を挺してマーリヤを庇っていた姿や、彼女に罪悪感を抱かせないために笑ってみせたオズの顔だけで十分じゃないかという気もします。

というか、現実世界と同じですよね。今もこの世界のどこかで誰かが戦いによって死んでいるかもしれない。私たちはその人となりや生きてきた歴史を知る事はありません。悲しくないかというと、悲しくない人もいるでしょう。反面、マーリヤのようにその誰かの死を嘆く人もいる。オズ以外の死んだ人たちにも、そうした人がいるかもしれない。このアニメ、視聴者を第3者として徹底的に突き放してきますね。登場人物は心情を視聴者に説明するわけでもなく、何かしらを大事に心の奥にしまっている。私たちに出来るのは、少しの言動やモノローグからキャラの心情を測り、そして見守ることだけなのかもしれません。

 

ところで今までさんざん、人を殺せないマーリヤちゃんを指して甘ちゃんだの口先だけだの言っておりましたが、そうですよね、彼女、自分のせいで誰かが死ぬのに敏感なんですよね……。

しかもマーリヤちゃん、たぶん、自分が都合よく命を奪う当事者を避けていることをわかっているんですよ。自分が着ている洋服が、食べている肉が、どこから来ているのかをちゃんとわかっている子です。自分が殺さない代わりに、例えば養父が、命を奪って自分に糧を与えてくれている。それを分かって、自分を責めてしまう子です。

今回だって、もしマーリヤが敵を1人でも撃てていたらオズは助かったかもしれない。またマーリヤは自分を責めるでしょう。

ここで奮起してそろそろ覚悟を決めてほしいような、マーリヤには「戦後」の象徴として不殺を貫いていってもらいたいような、複雑な気持ちです。