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アニメ感想・考察ブログ

絶園のテンペスト2話感想

オチが全く見えない。

絶園のテンペスト2話「彼女はとてもきれいだった、と少年は言った」感想

 

冒頭は回想です。
この妹の愛花ちゃんがすでにこの世にいないとは、悲しいですねえ。
死んだシーンの効果も相まって、彼女はシェイクスピアの悲劇で運命に翻弄されたヒロインという印象です。
そもそも悲劇って運命に負ける人間の話ですし。
シェイクスピアって幸せな描写のときに後の不幸を思わせる予言を入れるので、この回想シーンはまさしくその予言を含んでいるイメージですね。

「キスとはどんなものでしょう」と愛花ちゃん。
モーツァルトの「恋とはどんなものかしら」を思わせるセリフです。
吉野くんもキスしたことがないんだそうです。
逆に真広はモテモテなのか?
2人の秘密の恋はここからはじまったんですね。
愛花ちゃんはツンデレってやつなんでしょうか。

さて現代です。
不破家へ向かいながら吉野は真広からいろいろと説明を受けます。
不破家すごい大邸宅でした。
両親はどうしたんでしょうか。
壁の油絵も何か意味がありそうです。
寡聞にして詳細はわかりませんが。

魔具を用いて、犯人の手掛かりをさぐります。
真広にとって復讐が最優先、世界は二の次でした。
彼はハムレットなのか。
そうすると最後に死にそうですね。
吉野に魔具を持たせて、逃げろと言いました。
なんか吉野の態度が怪しいんですけど、犯人じゃないですよね…。

吉野は1人家に帰り、逃げる準備をします。
母親に電話をかけるが繋がりません。
彼はどうしてこうも無感情なのでしょう。
前回吉野を道化といいましたが、どっちかというとフールですね。
頭よさげですし。
「明日」が来ないから無感動なのでしょうか。
愛花ちゃんが死んだことで、吉野にとって「明日」も「約束」も無意味なものになってしまったのかもしれません。
だから世界が滅びようが復讐しようがどうでもいいのか。
停止してしまった世界では何が起ころうと何の意味もありません。

ゲーセンの前で、吉野はカツアゲされた自分の財布を発見しました。
回収したら28歳無職山本さんに捕まってしまいました。
魔具を使って撃退します。
さっそく使いこなしててすごいですねえ。

逃げた先は学校でした。
そんな自分から行き止まりに逃げ込むようなものです。
と思ったけど一番慣れ親しんだ場所だからなのか?
山本さんはマシンガンでどばばばばーっと撃ちまくります。
この人もぶっとんでます。
煙を出されて、吉野は屋上へ。
煙は下へ避難するのが常識ではないのでしょうか。

しかし屋上へ誘導されたということは逆にいえば待ち伏せができるということ。
吉野は山本さんから奪った銃を手に詰めよります。
こいつはためらいなく撃てるやつだ、と山本さん。
吉野の異常性が強調されてますね。
山本さんもろとも屋上からダイブ。
何がしたかったんでしょうか?
頭かちわりたかったんですか?
吉野は山本さんに取引を持ちかけました。

一方真広は犯人の手掛かりもわかって意気揚々。
葉風との会話からすると、鎖部一族と関係ある人みたいです。
じゃあ吉野じゃないのか。
ナイスタイミングで鎖部さんとご対面。
外見に似合わず渋い声ですね。
赤信号から青に変わって攻撃を仕掛けるとか、いいですね。

吉野はその頃、山本さんとお散歩中でした。
取引成功のようです。
真広をほっとけないという吉野は、でも復讐なんてと考えているようです。
つじつまを合わせることに対して皮肉めいてますが、「関節がはずれてしまった」とか「理不尽」とか、吉野も結局は真広と同じようにこだわっている感がありますね。
これが「ハムレット」だったら愛花ちゃんが亡霊となって出てくるんですが。
吉野は「ぼくの思う理想の世界」じゃないから「関節が…」とか言ってんのでしょうか。
テンペスト」的に言えば台本から外れてしまったということですか?
吉野は吉野でとても愛花ちゃんを愛していたみたいです。
わかりづらい人ですねえ。
「たとえ幾千幾万の兄があり、その愛情すべてを寄せ集めたとしても、おれ一人のこの愛には到底、およぶまい」
ハムレットからの引用だそうです。

個人的にこういう古典名作の引用は大好きなのでがんがんやってほしいです。
小説でもよく冒頭に引用があって、その作品の本質を表すのに使ったりしてますし。
あのミルトンの『失楽園』もほとんどが引用だったり、他作品の土台があって理解できる文ばかりですもんね。
そうやっていい作品って受け継がれていくのですね。
まさに「シェイクスピアは我らの同時代人」ですか。