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アニメ感想・考察ブログ

色づく世界の明日から2話

前回は世界観と顔見せがメインだったので、物語が動き出すのは実質2話からですね。

孤独な少女を取り巻く環境は、びっくりするほどやさしいものです。

色づく世界の明日から2話「魔法なんて大キライ」感想

世界観

魔法の文明貢献度

フィルムカメラなどの文明機器が普通に存在していることや、周りの反応からして魔法はあるけど文明レベルで影響を及ぼすほどではない、という程度みたいです。
それとも日本が遅れてるだけかしらん。琥珀さんがイギリス留学しているということは、向こうなら魔法学校的な何かがあるのでしょうし。
今まで出てきたのが「笑顔にする魔法」「失くしたものを探す魔法」「星屑の魔法」「しゃぼん玉に色をつける魔法」というあたりも、あったら素敵だけどなくても困らないくらいの魔法です。おもしろグッズ的な。
そもそも60年時をさかのぼるのに60年分の満月のチカラを溜め込まなければならないなど、文明レベルで運用していくにはコスパ悪いのかもしれません。

未来の食糧事情

瞳美ちゃんがオフリーという飲料を飲んで「おいしい」と言っていたのが気になります。「昔の」オフリーという表現をしたことから、物自体は未来にもあるようですが。
1話みた限り、瞳美ちゃんがおやつを食べていたりお祭りをしていたり、食糧に難を抱えている様子はありませんでした。この「おいしさ」は、誰かと一緒に食べるものはこんなにもおいしいんだょ…!という気持ちの表れかもしれません。

登場人物

月白瞳美

お耳かわいい。耳に髪をかけているのにもみあげ?だけ前に出てる髪型かわいいですね。何て言えばいいのか。
かつて魔法で何かやってしまったようですね。おばあちゃんの手紙に「すごい力を持っている」、魔法がまた見たいと言われ「あんなこと言われたの初めて」とモノローグしていたことから考えるに、魔法が暴走してしまったとか、そんな感じでしょうか。そこで大切な人(お母さん?)をなくし、色も見えなくなってしまった、と。
1人がいい、と言う割にはちゃんとコミュニケーションもとれてますし、何がネックになっているのかよくわからないちぐはぐな子という印象です。周りが優しいのも関係あるのでしょうが。
おばあちゃんの言う通り、向き合うことが怖い=表面上の付き合いなら平気なのでしょうか。そんな瞳美ちゃんが一歩踏み込んででも声をかけたいと思ったのが葵でした。あるいは、瞳美ちゃんも色を見ることができたら現状から脱却できると考えているのかもしれません。
ただ、彼女はあまり思いを言葉にしない子です。周りのキャラクターに対してもそうですし、視聴者にも全てを詳らかにしているとは言い難いように思えました。魔法が嫌い、あまり使えないと言いながら最後は星いっぱい出してますし。葵の絵で再び色が見えたのか教えてくれませんし。
ミステリー風に言えば「信頼できない語り手」なのでしょうね。ただこれはミステリーではないのでおとなしく瞳美ちゃんが心を開いてくれるのを待つしかなさそうです。

葵唯翔

1人美術部。最近の子はタブレットでラフを描くのですね。魔法よりそっちのがびっくりです。
彼も最低限のコミュニケーションしかとらないタイプに見えます。しかし悪い子ではないと。
今回瞳美ちゃんが言った「私の世界に色をくれた」というのはおそらく比喩として受け取っているのでしょうね。

風野あざみ

髪リボンちゃん。瞳美ちゃんの時代にお孫さん?いませんでしたか。
写真屋の娘で虫が好きな一風変わった子です。一緒のクラスになった瞳美ちゃんへ真っ先に声をかけるあたり、すごく優しい。

感想

選択的孤独

第3者の視点で見ているこちらにとって、この世界ってありえないくらいに優しいと思います。それも瞳美ちゃんに対して。
魔法使いの家系だからといって魔法を強要しないし、嫌いなものは無理してやらなくていいと言ってくれる家族。花火を一緒に見ようと誘ってくれ、返事をする時にきちんと聞いてくれるクラスメイト。不法侵入した相手に事情を聞き、相手にいやな思いをさせたと感じたら謝ってくれる。写真美術部の子たちも、瞳美ちゃんが馴染めるよう積極的に声をかけています。
こうしてみると、瞳美ちゃんが1人でいるのは「自分でそうしたいと望んだから」としか思えません。実際、本人もそのようなことを言っていました。瞳美ちゃんは外部要因によってではなく、内部要因によって孤独です。
すごく語弊のある言い方をしますが、外部要因による孤独ってうまくいけば強さを獲得できると思うんですよね。
たとえばコミュニティから悪意をもって疎外された人は、反発心を胸に孤独に耐えられる精神を手に入れるかもしれません。
そういう人の「独りで大丈夫」と、瞳美ちゃんの「独りで大丈夫(独りがいい)」はだいぶ意味合いが違ってきます。
瞳美ちゃんは単純に目をそらしているだけです。まさしくおばあちゃんが言っていた通り。

自分の内面と向き合いたくないから、相手にも踏み込まないでほしい。
だから独りがいい、と自分に言い聞かせているうちに本当になってしまった。あるいは誰かを傷つけた経験から、人を遠ざけているのかもしれません。
善意ばかりのこの世界で、瞳美ちゃんのような孤独を抱えるのは苦痛でしかないでしょう。
周りの善意を瞳美ちゃんは「ありがた迷惑」と思っていません。自分がちゃんと断らなかったから、と思う子です。つまり相手の気持ちを慮れる子なんですよ。周りの親切が善意からきていることを理解できてしまう。
その全てを断ち切って、独りでいる自分を瞳美ちゃんはきっと自分を責めたことでしょう。なんでこんな自罰的なんでしょうか。
魔法がまた見たいと請われて「そんな風に言われたの、初めて」と一種驚きをもって受け止めていましたが、それも当然かと思います。人とコミュニケーションを取ると、想定外のことばかりです。瞳美ちゃんが驚きを得ることができたのは、今回、彼女が葵とコミュニケーションをきちんと取れたという証ですね。

これ未来に還るの?

とりあえず瞳美ちゃんは元いた時代に還りたいようです。そんなに未練がないのかと思っていました。

これからおばあちゃん(琥珀さん)が瞳美ちゃんのために60年分の月の光を溜めよう、つまりは瞳美ちゃんをタイムスリップさせようと思わせる出来事があるとして、もしかしたらちょうど花火大会あたりで瞳美ちゃんが還っちゃう展開なのでしょうか。